突破できなかった“鬼門”バイエルン戦
昨年8月に上海で勝ち獲ったスーペル・コッパまでは、好調なフライトで視界も良好だったはずだ。しかし、セリエA開幕までのプレシーズンマッチや過度のトレーニングがチームに大きな支障をきたした。
その“ツケ”を開幕して3ヶ月間もの間、払い続けることになる。クラブ史上初の開幕2連敗に始まり、MFクラウディオ・マルキージオ、マンジュキッチ、ケディラの負傷離脱はチームに暗い影を落とすこととなる。
第10節を終えて4敗し、首位ローマとの勝ち点差11のリーグ12位。この悲惨な状況にGKジャンルイジ・ブッフォンは檄を飛ばす。「汗をかき、ユベントスで戦うことを喜びにしていないのであれば、このユニフォームに相応しくない。謙虚に、地に足を着く必要がある」と訴えた。
頼れる主将に叱咤されたチームはトリノダービーでアディショナルタイムに2-1と勝ち越し、チームに漂っていた暗いムードを一変させる。そこから連勝に連勝を重ね、2月には首位奪還を果たす。26試合で25勝を挙げ、5連覇を達成した。
チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグでは、プレミアリーグ王者のマンチェスター・シティに“ダブル”を達成。首位に立ったが、最終節セビージャ戦はジョレンテの一発で0-1の敗戦で、首位陥落。2位通過でのベスト16進出は、鬼門バイエルンとの対戦を招き入れるものだった。
バイエルン戦ではDFジョルジョ・キエッリーニ、マルキージオとディバラは負傷離脱。しかし2戦とも激闘の末、トータルスコア4-6でバイエルンに敗れる。「今大会最高の試合」の呼び声が高いこの一戦は、ユベントスがふたたび欧州のトップレベルで争えることを示すものになった。
CL制覇は逃したものの、セリエAとコッパ・イタリアを連覇したユベントスは、イタリア史上初の“ダブルス”を達成。この結果は、チームに新たな加わった血が円滑に適合したことを意味するものだ。