苦しい財政事情も2人の獲得は内定。来季はCL出場権獲得を
だが、悪い事ばかりでもなかった。追い上げの最中、チームの完成度は増した。攻守に数的有利を確保するウイングとサイドバックの連携と、高い位置から速攻を決めるというスタイルが徐々に浸透。守備の集中を保ちながらチャンスを決められるチームへと成長していった。
コンスタントではなかったが、強豪相手になかなかの試合も演じている。アウェーの第1レグで0-3と絶望的な差をつけられたコッパ・イタリア準決勝ユベントス戦第2レグでは、アウェーゴールを許さずに3点を奪い延長へと持ち込んだ。リーグ戦でも好調のローマとはアウェーでドロー、ナポリにも完勝した。
個も伸びた。イバン・ペリシッチはウイングとして完全定着を果たし、セリエAトップクラスの運動量と技術を保証するマルセロ・ブロゾビッチは中盤のあらゆるポジションで機能。約3800万ユーロ(成功報酬含む)の移籍金で獲得されながらセリエAへの定着に悩んだジョフレイ・コンドグビアも、終盤戦では中盤からの見事な推進で違いを作り出していた。
「下地はできた。このチームにクオリティとパーソナリティの備わった選手があと2、3人加われば今シーズンより良い成績が挙げられる」とマンチーニ監督は話している。とりあえずセビージャの司令塔エベル・バネガが濃厚で、左サイドならMFとSBの両方がこなせる攻撃的なジャネル・エルキンの獲得もほぼ内定したという。
あとはこれに誰を加えるかだが、ご存知の通りインテルは赤字がかさみ経営スリム化の真っ最中。今季はなんとか改善し、とりあえずUEFAファイナンシャル・フェアプレーのペナルティは回避できる見込みのようだが、簡単に強化に金は割けない状況だ。エリック・トヒル会長は資本参入者を募って動いている模様だが、いずれにせよクラブの立ち回りも補強を大きく左右するだろう。
現実的にCLの獲得は逃しているから、主力のうちには引き止めが難しくなる選手も出てくるかもしれない。とにかく、強いインテルを作り出すことはできるか。経営上でも来季はCL出場権獲得が達成されないと苦しいところだが、「下地はできた」と語るマンチーニ監督の言葉を信じたい。