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「劣っていると認められることこそが、我々の長所となる」。闘将シメオネのフットボール観【中編】

ハードワークでは括りきれない高質のチームを作り上げ、アトレティコをスペイン3強の一角に押し上げたディエゴ・シメオネ監督。そのフットボール観はどのようなものなのだろうか。カナル・プルス(スペイン)で2015年1月に放送され話題になったシメオネのロングインタビュー(聞き手:グスタボ・ロペス、フリオ・マルドナード“マルディーニ”)を、同放送局の許可を得て翻訳・編集しお届けする。(翻訳・編集:江間慎一郎/『欧州フットボール批評 special issue 02』より転載)

シリーズ:闘将シメオネのフットボール観 text by 江間慎一郎 photo by Getty Images

【前編はこちら】

トーレス獲得に向かわせたのは、選手としての個性

ディエゴ・シメオネ
アトレティコ・マドリーを3強の一角に押し上げたディエゴ・シメオネ監督【写真:Getty Images】

フリオ・マルドナード“マルティーニ”(スペインを代表するジャーナリスト、以下M) フェルナンド・トーレスの帰還をどのように感じた?

シメオネ(以下S) かなり満足しているよ。チームの本質、コンプロミソ(約束事、責務、約束)、帰属意識を取り戻す可能性を高められたわけだからね。トーレスはリバプール、チェルシー、またうまくいきはしなかったがミランで経験を積んできた選手で、何よりアトレティコを愛し、またここの人々からも愛されている。

 彼はヒエラルキーの上位に位置する選手ながら、競争に臨むためにここにやってきたんだ。チーム内での居場所は、トーレス自身が生み出すものとなるだろう。一方で、我々を彼の獲得に向かわせた理由は、その選手としての個性にあり、ポゼッションとスプリントの選択を可能とするためだった。

グスタボ・ロペス(元アルゼンチン代表MF、以下G) トーレスはインテリジェンスのある人間で、だからこそ多くの成功をつかんできた。そして、これから状況を逆転させなくてはいけない。

S 1つの挑戦となるが、素晴らしいものだとも思う。我々は互いに助けとなれるはずだ。彼にとっては、そのレベルにふさわしいキャリアを進めることになり、我々にとってはプレーの多様性を獲得することになるからね。現在(2014年12月当時)の我々はアタッカーの起用において、マンジュキッチ、トーレスをはじめとした多くの選択肢が存在する。それは以前に持ちようがなかったものだ。

M リーガ優勝、チャンピオンズリーグ決勝進出を果たした昨季の再現はやはり難しい?

S 我々は良い調子だと思う。改善の余地はまだあるし、右肩上がりで良くなっていくだろうからね。このチームの最高到達点がどこなのかは分からない。トーレスの到着はクラブ内外の雰囲気を盛り上げ、チームにとっても刺激となる。とてもポジティブだよ。とにかく、現時点での目標は成長し続けることにある。競争に臨みながら、チーム、クラブとして成長していくことが必要だ。

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