モウリーニョの仕事はあまりに多い
ファン・ハール監督にとってもう一つの大きな誤算は補強した選手たちがフィットしなかったことであろう。マルシアルを除けば、マッテオ・ダルミアン、モルガン・シュナイダルランはインパクトを残すことができず、バスティアン・シュバインシュタイガーとメンフィス・デパイは大きく期待を裏切った。
シュバインシュタイガーは怪我に苦しめられゲームに出場することもままならず、デパイは左サイドで強引な仕掛けを繰り返し、ボールを失うケースが多く、攻撃のリズムを乱した。また、守備の面でも切り替えの遅さ、私生活もファン・ハール監督から苦言を呈されるなど一年間を通じて問題が多かった。
来シーズンに向けて、ファン・ハール監督は解任された。後任には前チェルシー監督のジョゼ・モウリーニョの就任が決定的とされている(2016年5月25日現在)。
シーズンを5位で終えたため、来シーズンはELへの参戦となる。また、今夏はコパ・アメリカ、EURO、リオ五輪とビッグトーナメントが控えており、プレシーズンの準備は難しい状況に置かれている。いきなりモウリーニョの手腕が問われることになる。
補強ポイントはスモーリングの相方となるCBだ。ダレイ・ブリントはビルドアップで力を発揮したものの、屈強なプレミアリーグのFW陣を相手に苦しむシーンが多く見られた。中盤から前線に掛けては、若手の台頭やルーニーの中盤起用などでメドが立っただけに、ぜひCBを確保したい。
デ・ヘアの引き留め、マイケル・キャリックとの契約延長も行うべきだ。デ・ヘアに匹敵するGKを獲得することは不可能である。キャリックは年齢やフィジカル面を考えるとフルシーズンを戦うことは難しいが、高い技術を持っており、そのパスワークは衰えていない。
果たして新指揮官はどのようなチームを構築するのか。モウリーニョという劇薬は短期的な結果を求めるには最適だが、チェルシーでは長期政権への挑戦に失敗している。クラブは新指揮官に何を求めるのか。株主の顔色もうかがいながらの、難しい選択となる。