変則的なバルサに対する変則的な対応
通常、攻撃側は攻め込んだ時点でウイングが中へ入って、タッチライン際にはSBが張り出してくる。対するアトレティコはペナ角のSBがウイングとマッチアップし、SHが攻撃側のSBをマークすれば事足りる。
ところが、バルセロナは右ウイングのメッシがかなり早い段階からトップ下の位置へ移動していて、タッチライン際にSBダニエウ・アウベスが上がっていく。仮に、ここでアトレティコのSHがアウベスをマークし、SBがペナ角ポジションをキープした場合、中盤中央に数的不利が発生してしまう。簡単に言えば、アトレティコの左SBが誰もいない場所を守っているぶん、メッシが浮いてしまうわけだ。
こうした変則的な相手に対しては、アトレティコも変則的に対処する。左SBは「ニアゾーン」を塞ぐべくペナ角ポジションをキープ。そしてタッチライン際のアウベスは放置し、SHは中央を固める(主にインサイドハーフのラキティッチをマーク)。これで中央の数的不利は発生しない。
フリーにしているアウベスへパスが渡る段階で、はじめて左SBがペナ角から発進してプレッシャーをかけにいく。そうなると、埋めていたニアゾーンが空いてしまうのだが、MFはマッチアップが出来上がっているので、走り込む相手にはマンマークでついて対処する。FW(スアレス)の斜めのランについてもCBがつききる。
ニアゾーンは空くけれども、そこへ入ってくる相手にはピッタリとついて使わせない。走り込んだ選手にパスが出なければ、その時点でマークしている選手がニアゾーンを埋めていることになる。
「間受け」と「ニアゾーン」という、4-4-2の弱点をかなりの程度克服しているアトレティコは、全体的にも守備のメリハリが効いていて一体感が明確に表れている。
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