「間受け」と「ニアゾーン」、構造的弱点の解決
まず、引いて守る際には2トップがMFのラインに近づいているので、FWとMFの間のスペースを自由には使われない。ここを自由にやらせないので、必然的にMFとDFへの「間受け」もされていない。
攻撃側がアトレティコのFWとMFの間に入ってパスの起点を作れないとなれば、バイタルエリアへつなぐパスの距離は長くなる。MFとDFの間へつながれても寄せる時間があるので、そこで潰せる確率が高くなるわけだ。さらにMFとDFの間隔自体も狭く、「間受け」に十分なスペースを攻撃側に与えていない。
もう1つの弱点である「ニアゾーン」についても、アトレティコは巧妙に封じている。CBとSBの間にあるはずの「ニアゾーン」がほぼ存在しないのだ。
押し込まれたときのアトレティコは、ペナルティーエリアの横幅を4人のDFで守っている。SBの基本位置はペナルティーエリアの角。つまり、タッチライン際にいる相手選手をマークするのはSBではなくSHになっている。実質的な最終ラインは4+1の5人なのだ。
通常なら、タッチライン際にいる相手をマークする選手(SB)と、CBの間隔が広がるので「ニアゾーン」が発生するのだが、アトレティコの場合はペナルティーエリア角にSBがニラミを効かせていて「ニアゾーン」が埋まっている。
さらにアトレティコが巧妙なのは、バルセロナの右サイドのような変則的な攻撃にも対応できるところである。
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