大きな問題があるJリーグの制度設計
スペイン・リーガエスパニョーラでバルセロナの2連覇が決定し、欧州主要リーグで優勝が出そろった。イングランドでは岡崎慎司の所属するレスターが奇跡を起こし、ドイツはバイエルンとイタリアのユベントスと順当ともいえる結果となった。
一方、J1リーグの1stステージは後半に入り、川崎フロンターレが首位を走る(2016年5月21日現在)。昨年、チャンピオンシップ(CS)を制しJリーグの年間優勝を勝ち取ったサンフレッチェ広島は8位と沈んでいる。
各チームが1stステージ優勝を目指し、試合はますます白熱してくるだろうが、一昨年から気がかりな点は残ったままだ。年間優勝チームを争うCSの存在だ。
2015年からJリーグが採用した新たな制度に統計的な方法で切り込み、CSは『年間勝点で4位以下のチームをステージ優勝で救済する制度』と分析したのが名城大学理工学部の小中英嗣准教授だ。小中准教授はこう語る。
「現行のJ1のリーグ制度とCS制度は設計そのものに大きな問題があります。単純にサンプル数の少ない過去実績からの推論ではなく、仮想試合を行って10万シーズンぶんをシミュレーションした分析で明らかになりました」
小中准教授の専門は情報工学だがスポーツ観戦が好きで、教え子で大学4年生(当時)だった泉武志さんとともにJ1のリーグ制度とチャンピオンシップを学術的に分析。今年の2月に『日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌』に論文が掲載されたが、改めてこれらの制度に対しての問題点を聞いた。
まず、簡単にJ1リーグの年間優勝チームの「決め方」を振り返ろう。Jリーグが開幕した1993年から1996年をのぞく2004年までの11年間は、1シーズンを1stと2ndステージにわけて戦い、それぞれの優勝チームが年間優勝のタイトルをかけて争っていた。
2005年から2014年までは1シーズンで勝点の最も多いチームが年間優勝のタイトルを獲得するシンプルな制度を採用していた。人気の高い欧州主要リーグはこの制度で長年戦っている。
ところが、Jリーグは再び2ステージ制へと戻ることになった。