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ダバディさんのサッカー文化論。スタジアム、スペクタクル。人気拡大に必要な魅力の醸成【INTERVIEW】

シリーズ:FChan TV text by 中山佑輔 photo by Asuka Kudo/ Football Channel , Getty Images

Jリーグの試合に行こうと思うと時間がかかり過ぎる

―――それはJリーグにも近いことが言えるような気がします。Jリーグもあまり街中にスタジアムはありませんね。

 たとえば僕が日本にはじめてきたとき、94年くらいにヴェルディ川崎が強かったときは、頻繁に国立競技場で試合が開催されていた。東京でも盛り上がっていたと思うんです。

 でも味の素スタジアムとなると、完成してから僕は合計3、4回しか行っていない。良いスタジアムだし、西東京のあたりも嫌いじゃないんですけど、すごく時間がかかる。今の私だと、味の素スタジアムでの試合に行ったらまるまる半日つぶれてしまいます。浦和も行かないし、横浜はたまに行くけど、横浜でも同じです。僕は東京都内に住んでいますから、行くとしたら合計5時間ほどを確保しないといけない。これは厳しすぎます。

 今回ユーロ2016を開催するフランスでは、世界有数の建築家が造ったスタジアムがボルドーなどにできました。やっぱり街の中にあるスタジアムだったり、有名な建築家が造るスタジアムだったり、要するにスポーツが好きでない人も行きたくなるようなスタジアムを作る、そういう発想はかなり前からヨーロッパにはあります。

 そのあたりはサッカー文化とかスポーツ文化の違いなのかなという感じがしますね。よく文化は時間とか歴史の問題だと言う人がいますけど、それは誤解だと思うんです。30年、40年かかるとか、そういう問題じゃない。

 以前スポーツドキュメンタリーを某テレビ局で作っていたときに、私は必ず文化的な要素を入れないといけないと主張してきました。残念ながら必ずしも意見が通ったわけではありませんけど。

 たとえばシェフチェンコのインタビューをキエフで行うときに、キエフの街の映像を入れたいということです。でも、サッカー番組なのになんで街が映らないといけないの、と言われてしまう。それだとサッカーマニア以外誰も観ないですよ。僕の妻も観ないし、僕の友達も観ない。

 シェフチェンコを美しいところに連れて行って、クラブの歴史とキエフの街の歴史をリンクさせることで、サッカー文化を描くことができると思っていたんです。でもなかなか理解してくれる人が少なくて。

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