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香川真司 9年前

ドルトムントと共に復活した香川。来季飛躍に必要な新スタイルの浸透と的確な補強【15/16シーズン査定】

シリーズ:15/16シーズン査定 text by 本田千尋

賛否分かれる新戦術。来季への課題は?

香川真司
香川真司【写真:Getty Images】

 大幅に選手を入れ替えて抜本的にチームを作り直そうとはしなかったが、[3バック+2シャドー]という新たなスタイルを導入した。スタート時は前半戦と同じ4-3-3でも、例えば左SBのシュメルツァーが高い位置を取って、左ウイングのロイスがトップ下に降りてくる。

 後方には3CBが構えることで、2CBによる4バックに比べると、SBの裏のスペースをケア出来るようになった。同時に2シャドーを中心として、敵陣に人数を掛けることも出来る。ポゼッションというコンセプトは変わらない。

 このスタイルの適応に、香川は非常に苦しんだが、それはチームメートも同じだった。[3バック+2シャドー]が完成したのは、導入から2ヶ月も経とうとする頃、DFBポカール準決勝のヘルタ・ベルリン戦においてのことだ。

 プレッシング、ゲーゲンプレッシングも徹底させてゲームを支配したドルトムントは、3-0とヘルタを圧倒した。もっとも、その間にリーグ戦では負けなしだったことを考えれば、既にドルトムントは前半戦を通して、やはり自信は取り戻していたということなのだろう。

 この新戦術が上手くいったかどうかは、評価の分かれるところだ。確かにリーグ戦での失点数は、前半戦の23に比べると、後半戦では11と半分以下に減少した。しかしEL準々決勝のセカンドレグ、リバプール戦では後半だけで4失点を喫してしまう。

 また、PK戦の末に敗れたポカール決勝のバイエルン戦でも、最後まで陽の目を見ることはなかった。[3バック+2シャドー]は、大一番で力を発揮することは出来なかった。

 それでも、リーグ戦をトータルで考えてみれば、2位で終えることに成功したトゥヘルの手腕は評価されて然るべきだろう。第28節のブレーメン戦を3-2で終えると、6試合を残した時点で同順位を確定させている。ドルトムントは、1シーズンで、CLの出場権を奪還したのだ。

 よって今夏は、来季のCLを見据えた補強を行う必要がある。今季は主将を務めたCBマッツ・フンメルスは、既にバイエルン・ミュンヘンへの移籍が決定した。トゥヘルが惜しんだように、フンメルスのような人材は欧州中を見渡してもそうそういない。しかしCLの戦いを考えれば、守備の再構築のために、代わりとなるCBの確保は急務と言えるだろう。

 また、ギュンドアンのマンチェスター・シティへの移籍は、クラブ間で合意に至ったという。チェルシーがムヒタリヤンを狙っているという噂もあり、今夏、今季のドルトムントを支えた主軸の何人かは抜けることが予想される。既にレンヌからオスマヌ・デンベレを獲得したことは公表されているが、もう2~3人、的確な補強を行いたいところだ。

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