MF:アドナン・ヤヌザイ
ヤヌザイはドルトムントへの“短期留学”で居場所を失った【写真:Getty Images】
昨夏、ドイツで香川真司と再会したアドナン・ヤヌザイはどんな挨拶をしたのだろうか。「やあシンジ、久しぶり。またよろしくね」と自信に満ちた笑みを浮かべていたかもしれない。ヤヌザイはマンチェスター・ユナイテッド時代に香川からポジションを奪った過去をはっきりと覚えているはずだ。
しかし現実は全く違った。香川からポジションを奪えないばかりか、ほとんど試合に絡めず半年でユナイテッドへ送り返された。古巣への思いが強すぎたのだろうか。トーマス・トゥヘル監督からも「彼の心はユナイテッドに残ったままで、我々にはその糸を切ることができなかった。彼が完全にドルトムントを受け入れることはなかった。全てのことで常にユナイテッドと比較していた」と指摘されている。
ヤヌザイはドルトムントを後にする際、うれしくてたまらなかったはずだ。帰る先には自分の居場所がある、と。だが、もはやそこにもレンタル先で失格の烙印を押された男が立ち入る余地は残されていなかった。ユナイテッド復帰後、リーグ戦の出場はわずか3試合17分間のみだ。
かつて“ギグスの再来”とまで称され、英雄が背負った11番を託された男は天狗の鼻をへし折られオールドトラフォードのベンチに佇んでいる。ドイツ移籍で暗転した21歳のキャリアはどこへ向かうのだろうか。
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