U-20女子代表の遠征から帰国後すぐにアメリカへ
今回の遠征メンバーに、高倉監督が指揮官を兼任するU‐20女子日本代表の世代は入っていない。22日からパプアニューギニア遠征を行っている点も考慮されたはずだし、何よりも今秋に開催されるU‐20女子ワールドカップでのメダル獲りに集中させたい、という狙いもあるのだろう。
つまり、17歳以下の「世界女王」戴冠を経て、高倉監督が手塩にかけて育ててきた黄金世代も、来年からは満を持してなでしこジャパン候補生になる。弱肉強食の熾烈な競争へのゴングが鳴らされたことを、指揮官が発した「半分残っているかどうか」は意味しているわけだ。
初陣となる今回の遠征では日本時間6月3日と6日に、五輪4連覇へ向けて強化に余念のない世界ランク1位のアメリカ女子代表と対戦する。今週末にリーグ戦が開催される関係で、国内における事前合宿は行われない。
特に標高約1600メートルのコロラド州デンバーで行われる初戦に関しては、現地での練習が2日間というスケジュールを考えれば、時差ぼけ及び高地順応への対策を含めた準備もままならない。一夜明ければ、2戦目が行われるオハイオ州クリーブランドへの慌ただしい移動が待っている。
指揮官自身も「初戦に関してはぶっつけ本番の形で迎えないといけない」と厳しい戦いになると覚悟しているが、だからといって簡単に白旗をあげるつもりもない。
「アメリカのたたみかけてくるような攻撃を上手くいなしながら、自分たちのペースになるまで我慢して戦いたいと考えていますけれども、守ってばかりもいられませんので。アタッキングサードに入った後に、どのようにして点を取ればいいのか。個人の技術やアイデア、コンビネーションといったものをみんなで追及しながら、いい形がひとつでも出てくればいいのかなと思っています」
U‐20女子日本代表のパプアニューギニア遠征から、高倉監督と大部由美コーチが帰国するのは28日夜。南半球からの長旅による疲れを癒す間もなく、翌29日に予定されるリーグ戦視察をはさんで、48歳の熱血女性指揮官は30日にアメリカへと旅立つ。
(取材・文:藤江直人)
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