既存メンバーに与えられる新たな役割
同時に新生なでしこジャパンの核となる、既存のメンバーたちには新たに与える背番号に熱いメッセージを込めた。澤さんの象徴でもあった背番号「10」を託した、ボランチの阪口夢穂(日テレ)に対しては大黒柱になってほしいと期待をかける。
「中盤の底で目立たない仕事といいますか、ずっと澤の相棒を務めてきたなかであまり名前が出てこない選手だと思いますけれども、代表で100試合に出ていますし、日本のなかでレベルを考えれば、最高峰のものをもった選手だと私は思っています。より強い自覚をもって代表を引っ張っていってほしいという期待を込めて、10番をつけてもらうことにしました」
3月のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選で背番号「10」を託されたFW大儀見優季(フランクフルト)へは、背番号「9」に変えたうえでこんなエールを送っている。
「彼女はストライカーですので、点を取ることに対して強くこだわりをもってほしい。9番でフォワードとして、点を取る仕事を任せたいということです」
背負ったものが多すぎたからか。澤さんを欠いて臨んだ五輪最終予選で、大儀見は空回りしている感が強かった。今回の遠征で最年長となる2人の役割を明確にして、それぞれのベストの仕事を引き出す――2人の背番号の変更には、女性ならではのきめ細かな心遣いの表れでもあった。
いよいよ幕を開ける、3年後の女子ワールドカップ・フランス大会、そして4年後の東京五輪への再出発。すべての選手たちへ向けて、高倉監督はこんな言葉も残している。
「1年後にこのメンバーが半分残っているかどうかは、私にもわかりません。今回入らなかった選手に対しても常に扉を開けていきますし、私自身、上へあがってくる選手をいつも待っています。
誰かがいなければチーム力が下がるようなチーム作りをするつもりはありませんけれども、選手たちは『自分がいなければ代表チームは成り立たない』というところまで自分自身を高め、周囲にそう思わせるくらいの力をつけられるように日々努力してほしい」