初陣で早くも打ち出された新監督のカラー
高倉監督は宮間から辞退の申し入れがあり、話し合った末に了承したことを明らかにした。一方でベテランと呼ばれる域に達している、佐々木則夫前監督体制下における常連組のなかで、宮間と同じようなやり取りをした選手はいないとも明言している。
つまり、GK福元美穂(岡山湯郷)、DF岩清水梓(日テレ・ベレーザ)、近賀ゆかり、鮫島彩、MF川澄奈穂美、FW大野忍(すべてINAC神戸レオネッサ)、安藤梢(SGSエッセン)といったお馴染みのメンバーたちは未来へ向かう構想、要は世代交代を進めるうえで今回は選外となったわけだ。
初陣で早くも色濃く打ち出された新監督のカラーは、初招集組を含めた、代表歴の浅い選手たちを抜擢するに至った理由からも伝わってくる。
GK池田咲紀子(浦和レッズレディース)を除く初招集組、DF佐々木繭(ベガルタ仙台レディース)、MF高木ひかり(ノジマステラ神奈川相模原)、千葉園子(ASハリマアルビオン)、中里優(日テレ)はいずれも、3月にスペインで開催されたラ・マンガU‐23女子国際大会に出場していた。
代表2キャップのDF村松智子(日テレ)、同10キャップのMF増矢理花(INAC神戸)も然り。そして、ノルウェー、スウェーデン、20歳以下の編成だったドイツをすべて零封し、堂々の3連勝を飾ったU‐23女子日本代表を率いていたのが高倉監督だった。
4月27日に行われた就任会見で、高倉監督はこんな言葉を残している。
「五輪の出場権を逃したことは非常に残念ですが、だからといって下を向く必要はありません。私もずっと育成に関わっていますれども、素晴らしい若手がたくさんいます。いままで素晴らしい成績を収めてきた選手たちと若手を融合させて、新しいなでしこジャパンを作っていきたい」
【次ページ】育成年代から継続的な指導をしてきた強み