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日本代表 9年前

新生なでしこJ、高倉監督が進める世代交代。決断に自信を与える世代別代表監督の経験

高倉麻子新監督に率いられる新生なでしこジャパンが、いよいよ始動する。初陣となるアメリカ女子代表との2連戦(日本時間6月3日及び6日)へ臨むメンバー20人が、5月20日に発表された。常連組が外れた一方で初招集組が5人を数え、平均年齢も約24歳と3月のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選から一気に3歳も若返った顔ぶれから、なでしこジャパン初の女性指揮官が描く復活へのシナリオを探る。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Asuka Kudo , Getty Images

所信表明は一部撤回。若手中心のメンバーに

高倉麻子監督
なでしこジャパンを率いる高倉麻子監督【写真:工藤明日香/フットボールチャンネル】

 悪夢を味わわされた3月から止まったままの時計を動かすために。あえて所信表明の一部を撤回した。

 自らの手で初めて選んだなでしこジャパンのメンバー。東京・文京区の日本サッカーミュージアム内で行われた記者会見に臨んだ高倉麻子新監督は、リオデジャネイロ五輪の出場権を逃したアジア最終予選のメンバーから大量10人が入れ替わった理由をこう説明した。

「年齢で区切ることはないという話を就任のときにしましたけど、私たちなでしこジャパンは未来へ向かって進んでいることも確かですので、そういう構想のなかで少しでも進歩している要素の見える、あるいは伸びしろを感じた選手をまず選びました」

 会見に先立って、アメリカ遠征に臨むメンバーが記されたリストがメディアに配布された。女子代表の黎明期を支え、指導者としてU‐17女子日本代表を世界一に導いた、なでしこジャパン初の女性監督は果たしてどのようなメンバーを選ぶのか。期待感は瞬く間にどよめきへと変わった。

 長くなでしこジャパンをけん引してきたMF宮間あや(岡山湯郷Belle)の名前が、20人のなかに見当たらない。5年前の女子ワールドカップ優勝メンバーは、わずか4人にまで激減。翻って初招集メンバーが5人。国際Aマッチ出場試合数が「10」以下の選手も5人いる。

 昨シーズン限りで引退した澤穂希さんからキャプテンを引き継ぎ、約4年間にわたって大役を務めてきた宮間が外れたのはなぜなのか。質疑応答に入り、誰もがその答えを知りたい質問が飛んだ。

「宮間選手に関しては代表には選んだんですけれども、コンディションがインターナショナルマッチに出るレベルにはないということを、本人から連絡をもらいました。少し時間を置こうということになりましたけれども、私のなかでは構想に入っています」

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