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Jリーグ 9年前

フォルランがセレッソで伝えたかった“サクリフィシオ”。父から教えられた「犠牲心」【フットボールと言葉】

シリーズ:フットボールと言葉 text by 竹澤哲 photo by Getty Images

断ち切れなかった負の連鎖

 質疑応答ではフォルランは世界の一線級で活躍してきたベテラン選手という自分の役割、立ち位置を意識してコメントしている。

「セレッソは若いチームということもあり、私の経験を練習、試合において選手たちに伝えていきながら、アドバイスが必要であればしていきたい。そういう部分が求められているのではないかと自覚している」 

 3月に始まったJリーグ2014年シーズン。開幕当初は、すべてが順調に進んでいくようだった。セレッソは開幕戦こそ落としたものの、その後3連勝。第4節の鹿島戦では待望のフォルラン初ゴールも生まれている。

 4月12日に行われた第6節、ガンバ大阪とのダービーマッチでは4万人のセレッソサポーターを前にして、先取点を決めた。その後1対2と一度は逆転されるが、残り10分に再び同点ゴール。引き分けたものの2得点の大活躍を見せた。

 しかし5月に入ると仙台、浦和に2連敗し、順位を13位に落とした段階でポポヴィッチ監督は解任され、ドイツ人のマルコ・ペッツァイオリがあとを引き継いだ。

 ワールドカップ休止後、Jリーグは7月に再開された。だがマルコ・ペッツァイオリ監督は結局1勝もあげることができず、9月8日、解任されてしまう。

 負の連鎖は監督が替わっても断ち切ることはできなかった。そしてフォルランはさらに不条理な状況を受け入れなければならなくなる。第23節対柏レイソル戦から就任した大熊裕司監督は若手を積極的に起用し、フォルランを起用しなくなった。フォルランの先発出場はなくなり、招集さえされない試合も続いた。

(文:竹澤哲)

【取材協力:WOWOW】

【次回へ続く】

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