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Jリーグ 9年前

フォルランがセレッソで伝えたかった“サクリフィシオ”。父から教えられた「犠牲心」【フットボールと言葉】

シリーズ:フットボールと言葉 text by 竹澤哲 photo by Getty Images

加入会見、日本語での挨拶の衝撃

加入会見では日本語でのスピーチを披露したフォルラン
加入会見では日本語でのスピーチを披露したフォルラン【写真:Getty Images】

 だが、フォルラン自身のことや家族について聞くと、口数が少なくなり、すでに知られているフォルランの経歴について確認する程度で終わってしまった。しかしその中で特に印象的であったのは、フットボール選手であった父親からはどのようなことを教えてもらったのかと尋ねたときに、答えたフォルランの言葉だった。

「たくさんあるよ。今日に至るまでいろいろと教えてもらっている。子どもの頃は左足でも蹴れるように教えてくれた。そして常に一生懸命練習しなければだめだ。サクリフィシオをしなければだめだと言われていたんだ」

 実は、フォルランの口から直接「サクリフィシオ」という言葉を聞いたのはこの時が最初だった。

 フォルランが来日して最初に行った加入会見は衝撃的だった。彼は冒頭から全て日本語で話したからだ。

「こんばんは。日本の皆様、はじめまして。ディエゴ・フォルランです。セレッソ大阪で頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします。日本政府、Jリーグの皆様、ここでプレーができる機会をいただき、感謝致します。

以前から日本のファンでした。過去に3回、日本に来たことがあります。素晴らしいおもてなしを受けました。たくさんの希望と夢を持ってきました。去年、チームは4位まで行きました。今年、良い成績を残せるよう、全試合努力します。どうも、ありがとうございました。おおきに」

 特に最後に関西弁で「おおきに」と言ったことは、地元ファンに受け入れられたいというフォルランの強い気持ちの表れだったのだろう。ネイマールがバルセロナ入団の際、スペイン語ではなくカタルーニャ語で話したように、彼が地元ファンを意識したのはまちがいなかった。

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