トーレスは未来永劫“エル・ニーニョ”
2014年夏にはローン移籍によってミランに加わり、もう一度ユニフォームに赤を取り戻した。
そこに白が彩られたのは、それから4ヶ月後のこと。トーレスが4万5000人を前に披露した背番号は、キコがつけていた「19」だった。フットボールはつくづく、運命を交錯させる、行き帰りのあるスポーツである。
エウラリオの孫、ホセとフローリの息子、イスラエルとマリの兄弟、オラージャの夫、そして入団発表でともにピッチに立ったレオとノラの父親のマドリッド帰還は、それで説明が付いてしまうのだ。
私の敬愛するスペイン人歌手ホアキン・サビナは、アトレティコの創立100周年記念のイムノで、このような一節を綴った。
「100年も歩みを重ねたが、お前さんはサイドを疾走するエル・ニーニョよりも若々しい」
永遠のように残るであろうこのイムノの通り、17歳だったトーレスはエル・ニーニョであり、30歳となった今だってエル・ニーニョ。未来永劫、エル・ニーニョなのである。この愛の物語の主人公に向けて、ファンが響かせる歌声は明確だ。
「プレーに臨むのならば喝采を、ミスを犯すのならば後押しを、転ぶのならば手を差し伸べよう。何も理解できない者は、何も分かってくれるな」
フットボールや愛において、感じられないことを理解する術はない。
だからこそ、おかえりトーレス。
我が家に、おかえり。
(文:アルベルト・ロメロ・バルベーロ/翻訳:江間慎一郎)
【了】