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レスターが使いきった“新型4-4-2”の利点。10人ブロックの構築。戦術上不可欠な岡崎【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

レスターに岡崎が戦術上不可欠な理由

 ところが、レスターの場合はロングボールの精度そのものがあまり期待できない。いちおうニアゾーン狙いという方針はあっても、そんなにどんぴしゃのボールを毎度蹴れるわけではなく、タイミングもコースもかなりアバウトになってしまう。つまり、やっぱり大半は相手のボールになってしまうのだ。ここで岡崎の出番である。

 レスターのDFが苦し紛れのロングボールを蹴ると、たいてい落下点には岡崎が急行している。ロングボールを収めること自体簡単ではないのに、さらにボールがアバウトだからほぼ相手が先に触るとわかっている状況だ。

 それでも岡崎は全力で落下点へ走っていく。そして、これがなければレスターの攻守は成り立たない。無理筋のロングボールでも諦めずに追いかけ、相手ボールになってもプレッシャーをかけて自由にプレーさせない。

 あわよくばボールを奪いとったり、ファウルを誘う、スローインを得る。この地味で泥臭い仕事がなければ、レスターはたちまち戦列が間延びして戦術的に破綻するのだから、非常に重要な仕事なのだ。

 岡崎が筆頭格だが、ヴァーディーも献身的にこの地味な役割を果たす。ヴァーディーに関しては、むしろニアゾーン受けのスペシャリストといっていいぐらいで、斜めのランでディフェンスラインの裏へ入ってのフィニッシュは大好物。ただ、成功率の低い状況でのハードワークでは岡崎の右の出る者はない。

 通常、4-4-2の攻撃でカギを握るのがMFの両サイドである。

 サイド攻撃だけでなく、中へ移動して相手のDFとMFの間のスペースでパスを受けて崩しの起点となる役割も重要だ。この「間受け」は、現代サッカーの攻守両面で焦点となるプレーなのだが、レスターの場合はその手前のビルドアップが不安定なので、実は「間受け」はさほど決定的ではない。レスターのサイドハーフに期待されているのは、守備での貢献とカウンターアタックなのだ。

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