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Jリーグ 9年前

ロアッソが願う熊本の復興。故郷への思い、敗戦の悔しさ、古巣・千葉からの愛情…巻誠一郎が浮かべた涙

text by 今関飛駒 photo by Dan Orlowitz , Getty Images

千葉が示したリスペクト。古巣対戦の巻「特別なクラブ」

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古巣・千葉に感謝の言葉を残した巻誠一郎【写真:ダン・オロウィッツ】

 試合前、ロアッソのサポーターは1ヶ月ぶりの試合を待ち侘びるかのように大きなコールで選手たちを迎えた。

 ホームの千葉サポーターは「熊本! 熊本!」とエールを送り、ロアッソのサポーターも「サンキュー千葉!」と答えた。

 また、「心は一つ。がまだせ熊本! がんばろう九州!」と書かれた横断幕を掲げ、彼らはアウェイチームに最大限のリスペクトを示した。勝敗とは関係なく、フクアリに集まった今季最多の14163人の観客全員が同じ気持ちだっただろう。

 そして、千葉サポーターが示したリスペクトはもうひとつ見られた。スタメン発表の際、かつてクラブに2度のナビスコカップ優勝をもたらした巻の名前が読み上げられると、千葉サポーターから大きな拍手が送られた。

 黄色いスタンドには、「18 MAKI」と書かれたユニフォームを着たサポーターが多く見られた。巻がクラブを離れてから6年が経過しているが、千葉のサポーターが彼の功績を忘れてしまうことはない。巻も、古巣からの愛情を感じていた。

「本当に千葉というクラブは僕にとっては特別なクラブですし、僕のサッカーの原点ですし、選手として育ててくれたのもジェフのサポーターであったりこのクラブだと思っています。そういうクラブと再開の場で対戦できるということは、僕にとって特別な日だったなと思います」

 巻は、古巣のサポーターに対してそうメッセージを残した。やはり、ここで聞こえてきたのも感謝の言葉である。

 また、「本当に最高の場を作っていただいて感謝の気持ちでいっぱいですし、選手も含めて最大限に僕らのことをリスペクトしてくれた。全力で戦っていただいて、大きな声援をいただいて、このような最高の舞台を用意していただいて本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と巻が話したように、千葉の選手たちは持てる力を全て発揮してロアッソに立ち向かった。

 試合終了後には、千葉の選手たちは自らのチームのサポーターよりも先にロアッソサポーターのもとへ挨拶に訪れた。プロの選手が、プロの選手に対して、そしてサポーターに対して払う最大の敬意である。

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