効果的なロングパス。新たな武器を手にしたバルサ
そして今季、リーガエスパニョーラの策士たちは、バルセロナを相手に様々な罠を編み出し、欧州をも制したチームであっても進化を続けなければ、少なくともスペインを制することは簡単ではないことを思い知らせた。
それでも、ルイス・エンリケ監督は、シーズン序盤に相手のハイプレスにDFラインが苦しみビルドアップを封じられると、アンカーのブスケツをCBの間に降ろすことで再びビルドアップの力を取り戻した。
もちろん、それだけで乗り切れるほどスペインの知将たちは甘くはない。シーズンの半ばを超えた頃には、多くのチームがバルサの中盤に対して強烈なプレッシングを仕掛けた。
イニエスタとラキティッチは得点数やアシスト数が多くはないが、ショートパスを基本とするバルサで中盤と前線をつなぐ重要な役割を担っている。そのため、この2人の自由を奪うことで、バルサは本来の力を削がれる展開も少なくなかった。
特にその問題が顕著となったのが3月20日の第30節ビジャレアル戦から4月17日の第33節バレンシア戦。その間にチャンピオンズリーグで、やはりスペインのアトレティコ・マドリーに敗れたのは偶然ではないだろう。だが、その問題もGKやDFライン、中盤からロングパスを織り交ぜることでクリアした。
最終節でも、グラナダはフラットな4-5-1から、4と5の2本のラインをキープしつつ中盤にプレスをかけることでカウンターの機会を狙った。対してバルサはGKのテア・シュテーゲン、CBのジェラール・ピケ、インサイドハーフのイニエスタの3人が10本を超えるロングパスを記録。
パス成功本数は486本と、600本を超えることも多いバルサにとっては少ない数字だったが効果的な攻撃で3点を奪った。DFラインのビルドアップから、CBのマスチェラーノがペナルティエリアに走り込むダニ・アウヴェスへ一気にロングパスを送り、スアレスの2点目につなげた38分のシーンは、その効果が如実に現れた形だった。