アンチも多いバイエルン。ドイツ人にとって唯一無比の存在
依然としてバイエルンはドイツ国内で絶対的な存在である。ミュンヘンだけでなく、ドイツ全土にファンを抱え、アンチも潜んでいる。
カップ戦で2部所属のボーフムと試合をした日には、ボーフムの近郊からも赤いユニフォームに身を包んだファンが現れる一方で、CLでアトレティコ・マドリーと戦った夜には、フランクフルトのとあるバーでは皆がバイエルンを罵った。良くも悪くも畏敬の念を集める唯一無比の存在……それがドイツにおけるバイエルン・ミュンヘンなのである。
一般の者だけでなく、そのようなバイエルンにドイツ人の選手たちも惹かれても不思議ではない。ゲッツェに先駆けて、11/12シーズンにはノイアーとボアテングが、それぞれシャルケとマンチェスター・シティからバイエルンに移籍した。
ボアテングはドイツ代表として14年にブラジルW杯を優勝した後で、FCバルセロナからオファーがあったが、固辞したのだという。バイエルンでも「タイトル」を獲得できるからというのが主な理由だが、10/11シーズンに在籍したマンチェスター・シティで、ピッチ上だけでなく私生活でも上手くいかなかったことも関係しているのではないだろうか。
現在、ドイツは難民の受け入れなど問題を抱えてはいるが、ヨーロッパの中では南欧や東欧に比べれば、経済的に豊かで治安も良い。インフラも整備されている。同じ「タイトル」に近い環境でも、言葉の面も含めて生活環境の整っている自国に留まったほうが、ピッチ外のストレスを排除できる。
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