プロ3年目の若者がJ2で定位置をつかむ
昨年J3参入1年目ながら圧倒的な攻撃力でリーグを席巻し、優勝してJ2昇格を果たしたレノファ山口。今季はエース岸田和人を欠きながら、12試合を終えて6勝を挙げ上位争いに食らいつく。
J3で見せた細かくパスをつなぎながら丁寧かつスピーディーにゴールを陥れるスタイルは健在で、堂々たるパフォーマンスはJ2で上から2番目の17得点を挙げるなど破壊的な攻撃力を実現している。山口の魅力はやはり愚直なまでの攻撃サッカーだろう。
一方で守備には課題を残す。14失点は中位以下のクラブと同等か、むしろ多いと言わざるをえない。やはり攻撃陣に注目が集まりがちだが、守備でひとつの才能のつぼみが花開こうともがいている。
横浜F・マリノスから期限付き移籍で山口に加入したプロ3年目のDF北谷史孝は、昨年までJリーグU-22選抜の一員としてJ3で9試合、横浜FMでナビスコ杯に1試合、合計10試合しか公式戦出場歴がなかった。しかし、山口の上野展裕監督によってJ2開幕から12試合連続で先発起用され、J2第10節のFC岐阜戦でついに初ゴールを記録した。
興國高校から高卒ルーキーとして横浜FMに加入した北谷だったが、そこにはあまりに高い壁がそびえ立っていた。プロ入りから2年間は中澤佑二や栗原勇蔵といった偉大な先輩たちの隣でトレーニングを積みながらひたすら出番を待つ日々。負傷もあってなかなか出場機会は得られなかった。
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