英国で好まれる岡崎の泥臭さ
思い出すのは昨年8月。開幕から8戦目、アウェイの対ウェストハムで岡崎がレスター移籍後初ゴールを挙げた試合後、大衆紙『デイリー・メール』のサミ・モクベル氏と話をすると「勇敢なファイターだな」と驚いた表情を見せた。
この国では泥臭い選手が好かれることも、奏功したのは確かだ。もちろん洗練したプレーヤーの人気も高いが、カルロス・テベスやウェイン・ルーニーといった選手が好まれたのは、彼らが上質のフットボーラーであると同時に、FWであろうと必死に敵を追いかけて、積極的ボールに食らいつく姿が評価されたからである。
ハードワークと献身的なプレーでチームに貢献する岡崎もまた、今季は得点が少なかったものの、このカテゴリーに分類されたのである。そのためだろう。ピッチ上で黒子のように動き回り攻守にわたって存在感を示した岡崎について、シーズンを通じて地元記者は高い評価をし続けた。
印象的だったのは1月中旬に敵地で行われたアストンビラ戦のことだ。この試合で先制点を挙げた岡崎は軽快な動きで終始危険な香りを放ち、チームの中心にいた。だがクラウディオ・ラニエリ監督は後半14分で岡崎を退けて、結果的に同点に追いつかれて試合を引き分けている。
試合終了後、取材エリアから引き揚げようとすると、前を歩く地元のベテラン記者2人が「今日のマン・オブ・ザ・マッチは明らかに岡崎。なんで代えたのか分からないが、最近の岡崎はキレがいいのにそれでも交代する。『ティンカーマン(できそこないの修繕屋=ラニエリ監督の蔑称)』のやることは分からない!」と話をしていた。
また、今季ジェイミー・ヴァーディーに抜かれるまで、レスターの選手としてはプレミアリーグでの1シーズン最多得点記録を保持していたトニー・コッティー氏も岡崎の「ピッチ上での貢献度の高さは一目瞭然だ」と太鼓判を押した。