老獪な選手が揃う川崎Fからの“洗礼”
開幕連敗で最下位に沈んだ順位を、4位にまで急浮上させて迎えた5月8日。ホームで2位の川崎フロンターレと対峙した大一番で、新生レイソルは強烈な洗礼を浴びてしまう。
まずは前半15分。縦パスをインターセプトして、ドリブルで進んできたフロンターレのMFエドゥアルド・ネットのキックフェイントに、中山があっけなく引っかかってしまう。
思わずスライディングしてしまった中山をあっさりとかわしたエドゥアルド・ネットが、ペナルティーエリアのやや外側から左足を一閃。強烈な弾道がゴールネットに突き刺さり、サガン戦の前半30分以来、実に525分ぶりとなる失点を喫してしまった。
それでも前半30分に中谷のプロ初ゴールで追いついたが、後半に入ると百戦錬磨のストライカーが獰猛な野獣と化してレイソルゴールを襲ってくる。後半開始3分にネットを揺らしたFW大久保嘉人のヘディング弾はオフサイドとなったが、わずか4分後に勝ち越し弾を見舞われてしまう。
右サイドを細かいパス回しで破られ、最後はMF中村憲剛のスルーパスがDFエウシーニョへ通る。直前のシーンまで大久保の姿を背後に確認していた中谷だったが、その視線がエウシーニョに釘付けになっていた間に死角へと入り込まれてしまう。
DF山中亮輔のタックルをかいくぐり、エウシーニョが山なりのクロスをあげた直後だった。中谷が振り向いたその眼前で大久保はすでに宙を舞い、フリーの状態でヘディングの体勢に入っていた。
「クロスに対しての入り方は独特のものがあるというか、いままで経験できなかったものでした。無失点で抑えたかったですけど、これも経験として次につなげるべきものだととらえたい」
初ゴールをあげた試合を勝利で飾れなかった中谷が努めて前を向けば、わずか3分後の後半10分に、自身の背後に走り込まれたFW小林悠にダメ押しとなる3点目を叩き込まれた中山も続いた。
「クロスを上げられる前から、情報量をもっと多く自分のなかに取り入れないといけない。そういった部分で、もっともっと考えてやっていかなければいけないという意識が芽生えました」
この場面ではフロンターレが強烈なプレスをかけ、田中の苦し紛れのパスをインターセプト。そのままショートカウンターを仕掛け、DF登里亨平、中村、そして大久保と流れるようにパスがつながった。