攻撃に長所がある川崎でこそ得られる経験
これらの積み重ねが手応えならば、課題はやはり攻撃の起点としての物足りなさとなる。
「去年までのセンターバックに比べれば、まだまだ攻撃の部分で貢献度が低い。僕もエドゥー(エドゥアルド)も、このチームにスタイルにもっと上手くフィットしなきゃいけないと感じている。守れているかもしれないけど、このチームの考え方は守りではないので」
もっとも、レイソル戦では成長の跡も強烈に見せつけた。2対1と勝ち越した直後の後半10分。レイソルが得た右サイドからのスローイン。DF増嶋竜也がボールを預けたFW田中順也に、奈良も狙いを定める。
背後から強烈なプレッシャーをかけ続け、田中に前を向かせない。体勢を崩した田中が苦し紛れに出した横パスを、DF登里亨平がインターセプト。カウンターからFW小林悠がダメ押しの3点目を決めた。
フロンターレの風間監督は、攻め続ければ相手に攻撃をさせないことになる、という独自のポリシーを貫く。その意味では、ボールに直接触れなかったものの、相手ボールをマイボールに転じさせた奈良の対人における無類の強さは、攻撃の第一歩を担っていたことになる。
「監督からは『憲剛さんや(大久保)嘉人さんに頼っている部分がまだまだある』と、ミーティングでよく言われています。どのチームも憲剛さんと嘉人さんをマークするわけですし、そこで『もっとオレが』という選手が出てこないと『あの2人を抑えておけば大丈夫』となってしまうし、それでは個人的にも成長しない。若い選手がもっと脅威になれば相手も的を絞れないし、もっと迫力のあるチームになるはずなので」
レイソル戦から一夜明けた9日。奈良は優勝争いの真っただ中にいるファーストステージの戦いからしばし解放され、佐賀県内でスタートしたU‐23日本代表合宿で汗を流した。
11日にはガーナ代表をベストアメニティスタジアムに迎えた国際親善試合が行われる。手倉森誠監督も五輪本番へ向けて、18人の代表枠への生き残りをかけた戦いが始まると選手たちへハッパをかけた。