ネイマールの信念が引き起こした騒動
2014-15年シーズンのリーガ優勝を決めたバルセロナは、2つめのタイトルとなるコパ・デル・レイをかけ、2015年5月30日、アスレティック・ビルバオと戦った。試合はバルセロナがビルバオを圧倒。バルサがボールを廻し、ビルバオの選手はほとんどボールにも触れず、ボールの後をひたすら追いかける展開だった。
3対1で迎えた終盤、ネイマールがビルバオの右サイドバックのウナイ・ブスティンサに対してランブレッタ(ヒールリフト:両足でボールを挟み、相手の頭上を越えさせようとするプレー)をすると、ビルバオの選手たちは猛烈に怒り、ピッチ上は一時騒然とした。
ネイマールにしてみれば、大きな驚きだったはずだ。サントスでやっていたようなプレーを披露したに過ぎないのになぜこれほどまでにビルバオの選手は怒るのか。しかもバルサの選手たちからも、やり過ぎだとたしなめられたのだ。
それでもネイマールは試合後、次のようにコメントしている。
「僕のプレーはこうなんだ。ずっと前から僕はこのようにプレーしてきた。このようなプレースタイルを変えるつもりはない」
ネイマールが信条としているまさにオウザジーア(大胆さ)のプレーなのであり、彼はそれをスペインに行っても忘れないと心に刻むためにタトゥーまでしたのだから、彼のコメントは至極当然のものと言えるだろう。
試合後、ビルバオのイラオラは「僕には彼のプレーがエレガントでも、またスポーツマン精神の観点から見てもよいものだったとは、とうてい思えないね。でも彼はそのようなプレーヤーなのだろう。バルサには素晴らしいお手本となる選手がいるのだから、彼に教えてやればいい」と批判した。
バルセロナのルイス・エンリケ監督は敗者ビルバオに対する多少の気遣いもあったのではないか、次のようにコメントした。
「スペインではこのような行為はとても悪い印象を与える。私がビルバオの選手であったら、同じように、あるいはもっと怒りを露わにしただろう。ブラジルでは普通のことかもしれない。状況をもっと理解できるようでなければいけない、相手を辱める必要などなかったのだから」