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【レスターはなぜ強かったのか?―1】シンプルでも崩れなかった理由。空間を制圧した“サッキ流”ゾーンプレス

他クラブと差をつけることができた攻守交代のスムーズさ

 レスターのビルドアッププレーは、彼らの守備システムと同様に目新しいものではない。だが、非常にしっかりしている。それは、プレッシング、カウンタープレッシング(編注:ゲーゲンプレッシングのこと)によって、チャンスを作り出す必要があり、多かれ少なかれ、ユルゲン・クロップが信条とする、最高策略としてのカウンタープレッシングに倣っているとも言える。

 つまり、レスターの究極の目標はカウンター攻撃を仕掛けることにある。彼らの基本戦略を見ると、非常に受動的に構えているように見えるが、ちょっとした策略を使って、彼らは非常に大きな優位性を獲得する。

 今シーズンの多くの試合で、攻守交代が必ず起きていた。全体的に、プレッシングの過程でのトランジションは非常にスムーズで、その点が、レスターと大多数のプレミアリーグのチームを分けている。

 フォックス(レスターの愛称)たちは、多くの場面で通常有利ではない。しかし、自信と彼らが培ってきた自己理解力を手にしたことで、障害を克服し、データ上ではより優れているチームに勝利し、そしてラニエリ監督によって提示された計画に従うことができるという自分たちの力量を信じている。

 そして結果的に、現在の成功が、経験豊富な一流のチームのように振る舞うほどの自信を彼らに与えたのである。例えば、最前線でボールを引っ張りまわしたり、リードを守るための時間稼ぎにゆっくり1対1でプレーをするといったように。

 レスターにとってこうした状況は未知の世界だが、だからと言って彼らが素早くそれに慣れることができないということではない。自分たちのプレースタイルを守りながら、彼らは進化していったのである。

(文:コンスタンティン・エッケナー)

※当コラムはサッカー分析サイト「Spielverlagerung」に掲載されたものです。著者であるコンスタンティン・エッケナー氏の許諾を得て翻訳・編集しています。

【了】

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