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【レスターはなぜ強かったのか?―1】シンプルでも崩れなかった理由。空間を制圧した“サッキ流”ゾーンプレス

守備はサッキ流。徹底されたプレッシングとコンパクト化

レスター分析
ボール保持者に向かって全体が移動する。

レスター分析
通常、レスターの選手たちはペナルティエリアより広がらない。唯一の例外はウイングが相手を追い詰める場合。

 ラニエリのスタンスに影響を与えているのは、あのアリゴ・サッキ(編注:80年代後半にACミラン監督して黄金期を築いた。ゾーンプレスを体系化し、その理論は世界中の指導者に影響を与えた)である。ラニエリが今日実践しているアプローチには、サッキの戦術の特定の様相が表れている。

 空間的なコンパクトさを重視した4-4-2はサッキの教科書通りだ。『Sports Illustrated』2015年12月号でリビウ・バードは、その類似性を既に指摘していた。

「サッキは、自チームのDFとFWの間は最大25ヤード(約23メートル)の間隔にした。チームに有利になるよう、ピッチでプレー可能な範囲を小さくするため高いラインを求めた。ボールを持っていないときには、現在のレスターは似たような傾向を示し、対戦相手が中央でプレーするには、わずかなスペースしか残さないようにしている」

 プレッシングの最初の段階では、2人のFW(ヴァーディと岡崎)は横方向の動きが多くなる。ゾーンを重視しながら相手をマークする戦術においては、マークするべき攻撃側の選手に対して、味方同士でマークの受け渡しを行う。一方で、中盤(のライン)はボールの位置によって移動し、常に最初の形状を維持する。

 唯一、ウイングの1人(マフレズもしくはオルブライトン)が、彼の方に相手チームがボールを移動した場合、数ヤード前進することができる。ボール近くのウイングは、相手に向かって走り寄ることで、自分サイドにいるボールを持つ相手にプレッシャーをかけることが可能だ。とはいえ、厳密には個人の動きを重視したアプローチはラニエリのプランには現れない。

 むしろラニエリは、前進するウイングには中盤との関わりを維持してもらうことを望む。もう一方の4人のラインには、ほとんどの時間でそれはバックラインになるが、ペナルティエリアより広がらない。少なくとも1ライン、最善なのは両方のライン(MFとDF)を狭くする概念はサッキが採用していた選手間をコンパクトに保つという概念によく似ている。

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