サポーターに忍耐を求めた名誉会長
もっとも、皮肉にも本日最高のチャンスメイクはその後だった。38分、右サイドのスペースに深く走り込み、GKも触れない絶好の折り返しをゴール前に放っている。もっとも反応したのはルイス・アドリアーノのみ。しかもあと一歩遅れていたため、ボールをゴールへ押し込むことはできなかった。
スペースがない時、連携を使って細かく相手の守備陣を縫うか、あるいは個人技で強引にこじ開けるかが、中央を崩すプレーの選択肢となる。連携が使えない時は当然強引に行くしかないのだが、この日の本田にはそういったチャレンジももう少し欲しかった。
そしてブロッキは、途中から本田をサイドに張らせた。前線の3人にはこういった動きの冗長性を与えているのが彼の戦術のようであるし、それに対応しているという点で本田も新監督からの信頼も勝ち取りつつあるのだろう。もっとも戦術的なタスクをこなした一方で、ゴールなどの目立つ結果に結びつかなかったのは残念だった。
最終節は強豪のローマ。コッパ・イタリア決勝を前に、ボローニャ戦での消化不良ぶりを払拭してもらいたい。ただ次節にはジャコモ・ボナベントゥーラの戦列復帰が濃厚のため、本田の出場はそれにも左右されるかもしれない。4-4-2で両者を併用するのがチームバランス的に一番理にかなっているとは思うのだが…。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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