サポーターに忍耐を求めた名誉会長
さてブロッキ監督のことに戻るが、彼だって頑張っているというのは伝わる。「サポーターからはやる気がないのかと非難されたが、EL出場を目標に練習から真剣に努力している。私にとって今のミランの選手は全て一番優秀な選手たちであり、私は彼らを擁護し続ける」と会見で懸命に語っていた。この空気の中で、選手たちを導く監督の務めを果たそうとしているのだ。
その一方、シルビオ・ベルルスコーニ名誉会長はフェイスブック上でメッセージを発信していた。「私の心はあなた方と同様に苦しんでいます。いや、それ以上だ。私は1億5200万ユーロの私財をつぎ込んだのだから。(中略)この30年間、私たちはシャンパンとキャビアで沢山お祝いをしてきたではないですか。今はうまく結果が出ませんが、やがてそれも過ぎるでしょう。ですので、もう少し気品を持ってチームをサポートしようではありませんか」
地元サポーターからは監督更迭劇の批判に始まり、身売りを迫られるという状況に対しての反論である。
これもまたさらにサポーターの怒りを呼んでいるようなのだが、それも当然だろう。「今我慢してチームをサポートしろ」という忍耐をこの数年間真っ先に破り続けたのは、一体誰だったのか。
その混乱が払拭されないまま、コッパ・イタリア決勝まであと2週間。ミランの選手たちには、せめて決勝を楽しめるようなチーム状態に持って行って欲しいものである。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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