アデレードの“九度目の正直”に大いに沸く
Aリーグの2015/2016シーズンが終わった。5月1日のファイナル・シリーズの最終戦グランド・ファイナル(以下GF)は、シーズン優勝のアデレード・ユナイテッドと2位ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(WSW)が順当に勝ち上がっての決戦となった。
いずれのチームも“三度目の正直”を狙っての対戦だったが、リーグ初年度からの参入クラブで、長年タイトルを待ち焦がれてきたアデレードに一日の長があった。ホーム(といっても、日ごろ使用している本拠地クーパーズ・スタジアムではなく、5万人収容のクリケット競技場アデレード・オーヴァル)に押し寄せた50,119人の大観衆の前で、3-1と完勝。初めてのAリーグ王者の栄冠に輝いた。
前回、GFに進出したのは2009年で7年越しの願い、そして、過去9回ファイナル進出しているので、その意味では”九度目の正直”とも言える勝利にアデレードの街は大いに沸いた。
敗れたWSWは設立以来、わずか4シーズンで既に3回ファイナル進出を果たし、しかも、そのいずれでもグランド・ファイナル進出を成し遂げた。トニー・ポポヴィッチ監督の手腕の確かさは間違いないのだが、なぜかGFだけは相性が悪い。今回も栄冠に一歩及ばず、これでGF3連敗となってしまった。
今やWSWの関係者やファンにとってGFは鬼門に成りつつある。小野伸二が惜しくも果たせなかった大目標でもあり、心情的にはWSWに勝たせてやりたい気持ちがなかったわけではないが、今回もWSWに勝利の女神がほほ笑むことは無かった。
もちろん、それで勝敗が決まるわけではないが、「アデレード優勝」のほうが、よりドラマ性があったのは事実――何せ、最下位からの大逆転劇なのだから。