チームを窮地から救ったオブラクのPKセーブ
バイエルンはアトレティコを押し込むためにもうひとつ重要な策を講じた。攻撃時にシャビ・アロンソを最終ラインまで下げて3バックのような形でビルドアップに参加させることで、両SBを押し上げる。
さらに第1戦ではサイドに張ったまま何もできなかった両ウィングを局面に応じてインサイドとアウトサイドで出し入れすることでアトレティコ守備陣のマークを撹乱しようとした。これによって攻撃に幅が生まれ、左サイドのフランク・リベリが自由にチャンスメイクに絡むようになる。
そうして圧倒的に試合を支配していたバイエルンは31分、ボアテングの縦パスをきっかけにペナルティエリア手前でフリーキックを獲得。それをX・アロンソが直接決めて先制に成功する。これで完全に試合の主導権を掌握した。
だが、アトレティコは直後のプレーで流れを一変させる。34分、ホセ・マリア・ヒメネスがペナルティエリア内でファウルを犯し、バイエルンにPKを与えてしまう。キッカーに立った今季リーグ戦でPKを7本決めている名手ミュラーはゴール左隅を狙って蹴るが、GKヤン・オブラクが完全に読みきってセーブした。
結果的にこのセーブがアトレティコの決勝進出を大きく引き寄せる結果となる。仮にミュラーのPKが決まっていれば、アトレティコは1点を取るために攻撃に出ざるをえなくなっていた。前に出れば当然大量失点のリスクもあっただろう。オブラクは強烈なシュートを一度だけファンブルしてしまったが、その他のどんな場面でもボールの動きを最後まで見極めて冷静で正確なシュートストップを連発してチームを救った。