バイエルン、ボール保持とともに抱える「恐怖心」
UEFAが算出した今季のデータから、両チームの特徴を分析してみる。(左側がバイエルン、右側がアトレティコ)
▼全試合通算
得点数:28 – 15
失点数:10 – 4
ボール支配率:67% – 47%
シュート数(枠内):227(93) – 171(68)
パス成功数:7508 – 4429
▼1stレグ
ボール支配率:69% – 31%
シュート数(枠内):19(7) – 11(5)
パス成功数:654 – 150
ペップ・グアルディオラ監督が得意としているように、バイエルンは試合の大半でボールを保持し、多くのパスをつないでいるのが上記のデータから分かる。一方のアトレティコは、それらのデータが著しく低くなっている。だが、アトレティコはいくらボールを持たれていようと劣勢に感じることはない。
アトレティコはバルセロナとのベスト8でも示したように、持ち味は「守備」にある。単純にDFラインを下げてゴール前を固めるのではなく、4-4-2がコンパクトな3ラインを形成し、組織的に連動して動いていく。さらに、獰猛なまでにボールホルダーに対してプレッシャーをかけてボールを奪い、素早いカウンターで相手ゴールに襲いかかる。
ディエゴ・シメオネ監督の戦術は、「ゴールを守るための守備」ではなく、「ゴールを奪うための守備」である。
そのスタイルが表すように、アトレティコは大会を通じてここまで4失点と強固な守備力を誇る。得点数は15ゴールと決して多くはないが、ロースコアに持ち込みながらも着実に勝ち進んでいる。
2ndレグもバイエルンは試合を通じてボールを保持する時間は長くなるだろうが、逆に言えばそれだけアトレティコのプレッシャーにさらされる時間も増えるということになる。ゴールを奪うことと同時に、不用意にボールを失ってカウンターを受けるリスクも考えながらプレーしなければならない。
このように、バイエルンはボールを保持するのと同時に恐怖心を持ちながらプレーすることになる。“ペップ・バイエルン”の終幕はもうすぐそこまで近づいている。
そして、その集大成をCLという大舞台で示すことができるだろうか。アトレティコ戦で持つべきは、ボールではなく、恐怖心に打ち勝つ“勇気”だ。
【了】