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Jリーグ 9年前

福岡、J1復帰後初勝利の舞台裏。存亡危機からの復活劇。“身の丈補強策”を生む経営会議

text by 藤江直人 photo by Getty Images

補強は適材適所に最低限で

FC東京戦で決勝ゴールを奪ったウェリントン
FC東京戦で決勝ゴールを奪ったウェリントン【写真:Getty Images】

 前半に放ったシュートはわずか1本。それでも、井原監督はもちろんのこと、選手たちもまったく動じない。風上に回った後半。GK秋元陽太に防がれたものの、攻め上がった末吉の浮き球のパスに抜け出した城後が7分に放ったジャンピングボレーが、リスクの質を切り替える合図になったのか。

 同16分に獲得した直接FK。末吉が蹴り込んだボールは一度ペナルティーエリアの外へ転がっていくが、MFダニルソンが粘って拾い、後方にいた末吉へ再びつなぐ。

「キーパーが出られない位置へ蹴れば必ずウェリ(ウェリントン)が競り勝ってくれる。ウェリも僕がボールをもったらいい動き出しをして、いいポジションで待っていてくれるので」

 左サイドからファーを狙ったクロス。秋元は飛び出せない。日本代表DF森重真人と競り合いながらポジションを確保し、高い打点から千金の決勝弾を頭で見舞ったウェリントンも笑顔を浮かべる。

「非常に重要なゴールだ。FC東京のように、ACLに出場している伝統あるクラブに勝つことは、チーム全体にとってすごく自信になるからね」

 前半を風上に陣取りながら、ピッチ上での戦い方が徹底されず、わずか2本のシュートしか放てなかったFC東京とは対照的な一致団結ぶり。試合後の公式会見で井原監督も胸を張った。

「システムは変わっても、いままで続けてきたこと、絶えずハードワークすることや球際で強くいくこと、攻守を素早く切り替えるといった守備のベースは90分間徹底しようと選手たちには言いました」

 ここで時計の針を数ヶ月ほど逆回転させる。J1での戦いに備えたオフの新チーム構築。アビスパは適材適所で、必要最低限の補強に留めた。

 最大の補強は、プロレスラーと畏怖されたこともある屈強なフィジカルと飛び抜けたスピードを兼ね備える元コロンビア代表、MFダニルソン(前名古屋グランパス)の獲得だけと言ってもいい。

 期限付き移籍を終えたGK中村航輔(柏レイソル)の穴を韓国代表経験のあるイ・ボムヨンで埋め、U‐23日本代表のDF亀川諒史を湘南ベルマーレからの期限付き移籍から完全移籍へ切り替えた。

 あとは實藤友樹(前川崎フロンターレ)とU‐22韓国代表歴をもつキム・ヒョヌン(前ジェフ千葉)を獲得して最終ラインを、リオデジャネイロ五輪の出場資格をもつ為田大貴(前大分トリニータ)を獲得して2列目を厚くした。

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