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ネイマールがバルサを選んだ理由。父の教え。プレーする喜び“アレグリーア”【フットボールと言葉】

シリーズ:フットボールと言葉 text by 竹澤哲 photo by Getty Images

ネイマールにとって大切なアレグリーア

 代表コーディネーターのパレイラもバルサ行きを「正しい選択」と評価した。

「彼がヨーロッパへ渡るのなら、まさに今だろう。ワールドカップ1年前のシーズンをプレシーズンから参加し、1年間しっかりと過ごすのがよい。彼は適応し、バルセロナでもレギュラーとして活躍するだろう。プロ選手としても大きく成長するにちがいない。セレソンにとっても、それはとてもよいことだ」

 2013年6月3日、バルセロナ、カンプノウ・スタジアム。ネイマール・ジュニアと背中に書かれ、背番号がついていないバルサのユニフォームを着たネイマールは、右手にボールを抱え、左手を振りながら、ピッチに現れた。平日の夕方でありながらも、6万5千人がその瞬間を待ち受けていた。すでに巨大なスタジアムの1階席と2階席はゴール裏を除けばほぼ満員となっていた。

 ネイマールの登場には、試合前の選手入場時に使われるイムノが使われた。ピッチ上に敷かれた青絨毯の上をネイマールは笑顔で進んでいく。センターサークル付近に作られたステージに上がると、ボールを左手に持ち替え、右手でもう一度手を振る。そしてイムノに合わせるように軽いタッチでリフティングを始めた。

 イムノが終わると、会場からは大きな拍手と共に「ネイマール、ネイマール」の大合唱が起きた。ネイマールはその歓声に応え、手を振ると、ボールをいくつかスタンドに蹴り上げた。

 ステージ上の女性リポーターがマイクをとった。

「ネイマールに今の気持ちを聞いてみましょう。このようなプレゼンテーションがされたことに、どのように感じていますか?」

 マイクを手渡されたネイマールは、「皆さんこんにちは」とカタルーニャ語でまず挨拶をした。そのこと自体が、観客にとって驚きでもあり、喜びでもあったのだろう。スタンドからは大きな歓声が上がった。

「バルサの選手になれて、とても幸せ。僕の夢が叶ったんだ」と全てカタルーニャ語で話した。

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