モチベーション十分の下位フロジノーネにミランは耐えられるか
試合そのものは非常にハードなものになりそうである。フロジノーネは19位だが、勢いを付けて攻めてきた格下相手にミランが前節どうなったか。ポゼッション志向の4-3-1-2導入と引き換えに守備のコンパクトネスを失った今の彼らが、スピードがありアグレッシブなフロジノーネのサッカーに耐えられるかどうか不安が残る。
フロジノーネにはモチベーションもあるだろう。17位のカルピと勝ち点5離れてはいるが、そのカルピはアウェーでユベントスと対戦する。カルピがユーベに負けた上で、彼らがミランを倒せば勝ち点差は2に縮まる。そうすれば、次節以降に残留への望みをつなぐことは決して不可能ではないのだ(ただしその後の対戦相手はサッスオーロにナポリと、とても恵まれていないのだが…)。
そして何より、サン・シーロのファンの選手に対する風当たりはどうか。サポーターの反感はシルビオ・ベルルスコーニ名誉会長に向かっていた。ところが当の本人はミラネッロを訪問して「ヴェローナ戦は選手が悪い」と叱咤し、ある地元紙からは「今までの功績を考えれば、ベルルスコーニは非難に値するのか?」といった擁護記事も絶妙なタイミングで出されていた。
いずれにせよ前節の敗戦で印象は悪化しているので、選手たちはブーイングにさらされながらプレーすることになるかもしれない。
その中で機転を利かせ、チームプレーの成立に貢献し、かつ誰の目にも分かりやすい結果が出せるか。厳しい環境の中で、本田が聡明なプレーをやり通せるかどうかが注目される。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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