岡崎が感じた“屈辱”。優勝決まるユナイテッド戦でうっぷん晴らせるか
岡崎はプロとしてチームの中心になることを望んでいる【写真:Getty Images】
例えば岡崎に回ってくるチャンスの少なさがそれだ。エースに君臨したマインツ時代は、自然と自分にボールが集まった。一方のレスターではフリーの状況でもボールが出ないこともままで、「『くっそ、パス出せや』って(笑)。『俺無視してんなよ』って」と感じることもある。だがそれは、訪れた好機をきっちり決めきれなかった、今季の反省点として本人も認識している。
「決めておけば自分の価値を証明できる試合は何度もあったと思う。まあ今シーズンに関してはそれがやっぱり(できなかった)。そこが課題かな」
だからこそ、戴冠まであと一歩に迫ったチーム状況とは裏腹に、岡崎は「ただただ悔しさだけを味わっている」のだ。
「充実感というよりも、もっとこいつら(チームメイト)よりも目立ちたい。ないものねだりかもしれないが、チームが勝っているお陰で、俺の意欲がどんどん出てくる。こいつらは勝たせる奴がいて、点取って、目立って行く奴がいる。これが負けていて、誰か出てこい状態だったら、違うメンタリティーだと思う。
チームが勝つために、残留争いのためにとか守りに入る形になると思う。でも、今は結果を出す奴らがいて、一サッカー選手として、悔しさを味わっている。1試合何もできなかったら、のた打ち回るぐらいの悔しさを自分の内に秘めていた」
傍から見れば、岡崎はフォア・ザ・チームの塊のように映る。とはいえ、忘れてはいけないのが彼はストライカーであり、プロのサッカー選手ということ。だからこそ常にどん欲で、キャリアの中で初めての優勝さえも、彼を満足させない。
「僕はまだ絶対的存在になる機会を伺っているからこそ、そのモチベーションがフツフツと湧いてる。やっとチームのためとかではなく、自分のためにサッカーできているので。代表でもそうだし、サッカー選手として、改めて一番最初に戻ったというか。プレミアリーグに来ることで。自分が求めていたとおりですね」
ユナイテッド戦では、どんな働きをしてくれるのか。リーグ優勝へつながる決勝点を挙げて、飽くなきハングリー精神を持つ岡崎に「悔しい」シーズンのうっぷんを少しでも晴らしてもらいところだ。
(取材・文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【レスター】)
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