復活するかもしれないエージェント資格制度
続いて稲川氏には仲介人制度へと移行してからの変化について聞いた。稲川氏は「もっと資金力のある会社が入ってくるだろうというのは何となく思っていたのですが」と前置きした上でこう続ける。
「かといって、この国のサッカー選手のコミッションを考えた時に、それだけの会社が入ってくるメリットってどこにあるかなとも思っていました。現実を見ると、頭数は多いけれどもそんなに派手に出来ることがない。
エージェントではなく、プロモーションという角度で見ても、お金になる(日本人)選手ってほとんどいないわけです。つまり、コマーシャルに出演できる選手なんてほとんどいないわけです。だから、何となくこんな感じで行くのかな、としか今は言えないです」
ただし、新制度になったことで稲川氏は「プロサッカー選手だった人間の職業の場になるという感じは受けています」と、エージェント業界が引退したプロ選手の受け皿になると予想する。
FIFAによるライセンス制度時代とは異なり、FIFAのレギュレーションやJリーグの規約を知らなくとも、極端な言い方をするとズブの素人でも、仲介人として選手のエージェントを務めることができる以上、この業界が無法地帯となる危険性もある。
そうした状況について、稲川氏は「エージェント資格を復活させようという意見も海外ではあります。結局、ライセンス制度を廃止したのがFIFAのブラッター前会長とUEFAのプラティニ前会長なので」という動向を明かしてくれた。
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