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Jリーグ 9年前

浦和が見せつけた確かな変化。川崎を圧倒したプレッシング。悲願のリーグタイトルへ

text by 藤江直人 photo by Dan Orlowitz, Getty Images

鬼門・等々力を突破。恐れるものはない

 無失点試合を増やしたいと語る西川周作
無失点試合を増やしたいと語る西川周作【写真:Getty Images】

 前半途中のひとコマ。接触プレーで太ももを強打し、右タッチライン際で倒れながら苦悶の表情を浮かべていた森脇はこのとき、チームメイトたちの気持ちの充実ぶりを感じたという。

「相手のサポーターは大ブーイングしていたし、僕も早く立ち上がりたかったんですけど…。マジで痛い、大丈夫かなと思っていたのに、みんなは気にしていないんですよね。早く立てよ、という感じで。大丈夫かという言葉もなかったし」

 MF関根貴大が両手で丸を作り、プレー続行可能を告げていたことを知らされた森脇は、さらに苦笑いを浮かべる。攻守が最高のハーモニーを奏でていたからこそ、試合を途切れさせたくなかったのだろう。

 後半開始からフロンターレは布陣を3バックに変更。レッズと同じ形で臨む「ミラーゲーム」で、1対1の局面を増やすことで相手のプレッシャーを封じ込めにかかった。

「同じシステムにして『はめにきた』ことに対して、個の勝負というのはむしろ自分たちの得意とするところですし、目の前の相手に競り勝つための強さと上手さは、自分たちのほうが上だと思っていたので、僕は逆にラッキーだと、これはいけると思いました」

 槙野が笑顔で振り返れば、ペドロヴィッチ監督就任後の成績が1分け3敗、得点4に対して失点11と鬼門と化していた等々力陸上競技場で手にした勝利に西川も表情を綻ばせる。

「等々力から帰るときはいつも気分がよくなかったけど、今日は気持よく帰れますね。自分の状態もすごくいいし、シーズンが終わったときに無失点試合がいくつあるか、というところにトライしていくことは楽しみな部分でもあるので」

 ACLとの関係で6月11日からの15日間で5試合を戦い、ファーストステージを締めくくる。ホームに鹿島アントラーズを迎え、中3日でガンバ、さらに中2日でサンフレッチェ広島のそれぞれ敵地に乗り込む。

 昨シーズンに続いてファーストステージを制し、チャンピオンシップ出場権を獲得するための胸突き八丁となりそうな過密スケジュール。それでも、心技体を充実させたレッズの選手たちに恐れるものはない。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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