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Jリーグ 9年前

浦和が見せつけた確かな変化。川崎を圧倒したプレッシング。悲願のリーグタイトルへ

text by 藤江直人 photo by Dan Orlowitz, Getty Images

浦和の選手たちを奮い立たせた大久保の言葉

 実は首位攻防戦を前に、大久保がメディアに語った「浦和は怖くない。勢いだけ」というニュアンスのコメントを、レッズの選手たちは見聞きしていた。

「オレたちは勢いだけじゃない、下手くそじゃないというところを見せなきゃいけなかった」

 さらにモチベーションを高めて臨んだ選手たちの本音を代弁した槙野は、語気を強めながらこう続けた。

「自分たちが今シーズンに入ってチャレンジしてきたことを存分に出せていた。川崎のよさというものをまったく出させなかったし、自分たちが終始ゲームをコントロールした、勝つべくして勝った試合だった。

 特に怖さはなかったし、逆に相手のほうが僕たちを警戒している感じがあった。(大久保)嘉人さんと小林悠がやりづらそうにしていたし、彼らのスペースも上手く消していた。自分たちにミスが出ない限り、相手にチャンスはないだろうなと思っていました」

 槙野の言葉のなかに、レッズがいままでとは異なる「強さ」を発揮する理由が凝縮されている。曰く「今シーズンに入ってチャレンジしてきたこと」が、90分間を通してフロンターレを圧倒していたからだ。

 サンフレッチェ広島時代にMF森崎和幸を中心とする選手たちとともに育んだ「可変システム」を、ミハイロ・ペドロヴィッチ監督は2012年に就任したレッズにももち込んだ。

 基本フォーメーションの「3‐6‐1」がマイボール時には「4‐1‐5」へ、相手ボール時には「5‐4‐1」へ変わる。特に後者の場合は、自陣に下がってブロックを形成するケースが多かった。

 しかし、いわゆる「本家」が3度のJ1制覇を達成する一方で、レッズはタイトルを手にできない。2013、2014シーズンは終盤戦で失速し、昨シーズンのチャンピオンシップも準決勝でガンバ大阪に屈した。

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