理想と現実との間に立つミラン
水曜日の検査結果によっては、ボナベントゥーラの故障欠場が数試合に及ぶ可能性がある。そうなればしばらく本田にチャンスが回ると思われるので、指揮官の要求とプレースタイルのすり合わせを図り、アピールに成功してほしいものである。
しかしながら問題は、そもそも今のチームに4-3-1-2というシステム自体が使いこなせないということ。そしてこのベローナ戦でも、そんな限界があらためて露呈されてしまった。ブロッキの希望通りトップ下を含めた3枚を前線に残すためには、彼らのポジショニングだけでは不十分。後ろのDF4枚、MF3枚のラインで守備が耐えられたり、ビルドアップができたりしなければ無理だ。
そして守備の薄いところにボールを放り込まれた結果、ミランはずるずると下げて相手にペースを譲った。今回の敗因はそこである。いや前の2試合でも、ポゼッションの数字ばかり高い一方で守備には異様なもろさを見せていた。
シニシャ・ミハイロビッチ前監督は、守りきれないと判断したからこそ4-3-1-2を放棄して4-4-2でチームを固め、本田にもハードワークを課していたのだ。その現実策を強制的に放棄した結果、チームはこういう目にあっている。この試合でも本田が後方のヘルプを意識しなければ、失点がもっと拡がっていた節もある。
理想と現実との間で、果たしてブロッキは解決策を打てるのか。その一方で伊衛星放送『スカイ・イタリア』は「シルビオ・ベルルスコーニ名誉会長とアドリアーノ・ガッリアーニ副会長が監督人事についての話し合いを行った」と伝えている。これが事実なら、呆れる話である。
(取材・文:神尾光臣)
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