矛盾する指揮官の発言が表す今のミランの現状
これは、数日前の発言と矛盾する。ブロッキ監督はサンプドリア戦後、「ボールに多く触ってパスを回していくようなクラシカルなトップ下ではなく、よく動いて左右のスペースに流れていくようなプレーを求める。そしてFWと連動し、3人で前線のスペースを突くという動きが理想だ」と明確に語っていたはずなのだが、そういう理由があってのボナベントゥーラ、そしてボアテンクの起用ではなかったのか?
それに一列下の3MFの顔ぶれによってトップ下の選手が決まるというくらい流動的なものならば、システムを固めているという理屈も分からなくなる。イタリアで取材してたかだか十数年なので偉そうなことは言えないが、サッカーのシステムに関してこういうコメントは初めて聞いた。
多くの監督は「システムは選手の顔ぶれで決まる。必勝のシステムなどはない」と言う。逆に特定のシステムを信奉する監督もいるが、彼らはそれならそれで理屈を説明してきた。4-3-3のズデニク・ゼーマン、また3バックにこだわったワルテル・マッツァーリなどはその一例だ。
とにかく、4-3-1-2のシステムでポゼッションサッカーをしなさいという至上命令が降り、セリエA初挑戦の指導者にその使命が請け負わされている。これが、今のミランの現状なのである。
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