欧州トップを目指すために「まだまだ足りない」
ドルトムントには「個の力」が強い選手が多い。「個の力」を、香川は「前に行く力」とも言い換える。3トップのオーバメヤン、ロイス、ムヒタリアン、または新星プリシッチ…速くて技術のある選手に「本当に刺激を受ける」のだという。
「前に速く、ひとりである程度打開できる選手、今のヨーロッパでトップチームと言われるチームにはそういう選手が多い。馬力じゃないですけど、そういう所でもう一個前に、色々な意味で行けるように、球際も含めて。そんなすぐに身につくものじゃないから、まだまだやれることはあるのかなあと思います」
欧州のビッグクラブは、どこも「ひとりである程度打開できる選手」を揃えている。ヨーロッパに身を置き、日々ドルトムントの同僚に刺激を受けることで、香川の中に追い求めるべき理想像のようなものが生まれていったのかもしれない。
「トップスピードの中でどれだけやれるか」
そういった意味では、シュトゥットガルト戦での先制弾は、香川の“こだわり”が生んだとも言えるだろう。左サイドで、ロイスとのワンツーから、ムヒタリアンが「トップスピード」に入ると、香川もギアを上げて加速して、エリア内に入っていった。
そして難しいボールを集中して決めきったが、「まだまだ足りない」と、決して満足することはない。「パワー」、「スピード」、「球際」…「前に行く力」を身に付けていくために、「まだまだやれることはある」。
その追求の過程は、ポカールの決勝も含めた、今季の残り4試合では終わらないだろう。
香川の“こだわり”は、来季もまた続いていくはずだ。
(取材・文:本田千尋【ドイツ】)
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