読み違えたゲームプラン。ホームで全北現代を上回れず
城福監督はこの試合前、記者団に対して全北現代戦の展望について次のように語っていた。
「まずはホームで当たり負けをしないこと。向こうのクオリティに対して何で勝負するかは共有できているので、今日のメンバーで全北現代を上回るものを見せなければならない。
90分の中で繋いでいきながら各々の特徴を出して、ギリギリのところで勝負をつける。そういう意味では我慢する時間もあると思いますけど、それを辛抱して、恐らく相手の方が点を取りに行きたくなる心境は早くなると思うので、我々はバランスを崩さないようにしたい。
それと、前回のJリーグの試合(川崎戦)で内容は良かったけれどスコアをもっと意識すればもっと良い結果が出たという、悔しい、強い反省があったので、しっかりと(全北現代戦に)活かしていきたい」
ところが、試合後の会見で「思いのほかボールが回って相手が引いていた」という言葉に変わってしまう。ゲームプランを読み違えていたのは明らかである。試合の入り方、もっと言えば試合前の準備段階で勝負はついていたのかもしれない。
この日の全北現代は、守備に重点を置きつつFC東京の両サイドのスペースを消してきた。FC東京の攻撃を我慢して耐え続け、ボールを奪えば素早いカウンターを仕掛けてきた。
全北現代のチェ・ガンヒ監督も、試合後にFC東京のストロングポイントがサイド攻撃にあり、それを抑えたことが勝因だと語っている。
「相手チームの2列目の動きがとても脅威的だったので、そこの部分を改善できたこと、守備がスルーパスの部分を防げたことが要因だと思います。
幸運にも主将(森重真人)が出場しなかったので有利に試合を進めることができたのですが、38番(東慶悟)と44番(後半から途中出場した阿部拓馬)がサイドから切り込んだり、脅威となるプレーをしていた。我々が欲を出せば後ろのスペースが空いて危険な場面になることもあったと思うが、欲を出さずに守れたことが今回の勝因のひとつだと思っています」
この言葉が、FC東京の敗因、そして全北現代の勝因を表しているのではないだろうか。城福監督は「全北現代を上回らなければ」と話していたが、上回ることができなかった。「我慢する時間がある」と言っていたが、我慢をしたのは全北現代であった。