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Jリーグ 9年前

鹿島・永木、古巣に見せた“湘南スタイル”の片鱗。成長のために選んだ常勝軍団での挑戦

text by 藤江直人 photo by Getty Images

不退転の決意で選んだ新たな道

永木から湘南の主将を引き継いだ高山
永木から湘南の主将を引き継いだ高山【写真:Getty Images】

 アントラーズから「帰りのバスが出る時間だぞ」というメッセージを携帯電話に受け取るまで、永木は曹監督をはじめとする首脳陣やかつてのチームメイトたちに挨拶を繰り返した。

 特別な言葉は口にしない。それでも、Jリーグを代表する名門軍団で「らしさ」を貫こうとする前キャプテンの必死な姿は、ベルマーレが自信を取り戻すための羅針盤となる。

「ずっと試合に出てきた満男さんの代わりに自分がスタメンで出て、結果を出さないとなると、自分にとっても自信につながらないし、また使われなくなると思う。自分が出て、試合に勝てたということが今日は何よりも嬉しい。

 今日である程度、吹っ切れたかなという思いもある。これを機にリーグ戦の出場時間をもっともっと増やしていきたいし、いまは3番手の位置ですけど、いつかは監督のファーストチョイスになれるように、しっかりとやっていきたい」

 小笠原が戦列に復帰する24日の柏レイソル戦以降をにらみながら、永木が決意を新たにする。試合後のロッカールームで、永木と「ウッス!」と短い言葉を交わした高山も絶対に下を向かないと誓う。

「越えなきゃいけない壁だと思う。よくないときほど気持ちを強くもってやらないと。(3失点目は)クロスからシュートまでの勢いもあったし、逆にウチがやりたい形でもあったと思う」

 不退転の決意とともに新たな道を歩み始めた以上は、永木はセンチメンタルな思いを封印して前へ進み続ける。それでも、3点目につながった魂のスライディングは、自らも体現してきた「湘南スタイル」の原点を思い起こさせる強烈なメッセージとなって、図らずも高山をはじめとする古巣へ伝わった。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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