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Jリーグ 9年前

鹿島・永木、古巣に見せた“湘南スタイル”の片鱗。成長のために選んだ常勝軍団での挑戦

text by 藤江直人 photo by Getty Images

ずっと応援してくれた湘南サポーターへの思い入れ

 いま現在の自分にないものとして求めたのが、日本代表経験者たちが切磋琢磨する厳しい競争と、クラブ全体に脈打つ勝者のメンタリティー。目先の1勝に満足しない雰囲気が、刺激になると永木は打ち明ける。

「負けた試合の後はもちろんですけど、勝った試合の後でも気づいたところは厳しく要求し合っている。そういう姿勢は見習っていきたい」

 3対0の快勝を飾り、勝ち点1差で川崎フロンターレに次ぐ2位をキープした試合後。クールダウンのためにピッチに姿を現した永木はチームメイトから離れ、バックスタンドへとジョギングしていった。

 ベルマーレのサポーターで埋まるゴール裏を経て、そのままメインスタンドへ。拍手と「ナガキコール」を浴びながら、永木は感謝の思いを伝えていた。

「やっぱり思い入れのあるチームだし、サポーターもずっと自分を応援してくれたので」

 永木やU‐23日本代表のDF遠藤航(現浦和レッズ)、守護神・秋元陽太(現FC東京)が抜けた古巣はリーグ戦で未勝利が続き、最下位から抜け出せない苦戦を強いられている。

 キャプテンを引き継いだのは同じ27歳で、フロンターレのジュニアユースとユースでプロを夢見て競い合ったFW高山薫。永木が中央、高山が専修にわかれた大学時代以来の直接対決となった一戦で、特別な感情は込みあげてこなかったという。

「練習のときからバチバチやってきた仲だったので。それが敵に変わった、というだけというか」

 くしくも高山も、同じニュアンスの言葉を口にする。

「試合中はいちいち亮太のことを考えていなかったけど、変わっていないというか、鹿島のなかに入っても普通にプレーしていた」

 メディアによる囲み取材を終えた永木は試合中に痛め、氷を詰めた袋を巻きながらケアしていた右ひざをちょっと引きずりながら、ベルマーレのロッカールームへ急いで足を運んだ。

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