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Jリーグ 9年前

鹿島・永木、古巣に見せた“湘南スタイル”の片鱗。成長のために選んだ常勝軍団での挑戦

text by 藤江直人 photo by Getty Images

断りを入れた最高額オファー

湘南ベルマーレではキャプテンを務めた永木
湘南ベルマーレではキャプテンを務めた永木【写真:Getty Images】

 不動の大黒柱にしてキャプテンの小笠原。23歳とは思えない冷戦沈着さを漂わせ、今シーズンから「10」を託された柴崎岳。難攻不落の2人がボランチに君臨している状況はしかし、覚悟の上だった。

「それでも、この厳しい状況で勝ってやるという気持ちを抱いて鹿島へ来たので」

 短い言葉に決意を凝縮させながら、他の追随を許さない17個ものタイトルを誇る常勝軍団での日々で、新たなものを発見していると永木は声を弾ませる。

「練習の段階からレベルがすごく高いですし、まだまだ自分の足りないところを気づかされた。足元の技術が高い選手が大勢いるので、練習でのボール回しにしても、いままで高い意識でやれていなかったのかな、と思ったこともあります。

 そういう点を逆に意識することで、自分の足元の技術も上がってくる。加えて、90分間を通して勝つために何をするのかということを、全員が明確に理解している。それが鹿島というチームのスタイルになっているし、その点はこれからも勉強になる。

 湘南にいたときから想像していたことなんですけど、選手自身が自立していますよね。スタッフとの信頼関係ももちろん築けていますけど、スタッフに言われてから選手が行動に移すのではなくて、いま何をすべきとか、ということをピッチから離れたところでも考えている。人間性でも優れている選手が、本当に大勢いるので。ブラジルスタイルが変わらない点やクラブハウスにも、伝統を感じますよね」

 2013シーズンのオフにセレッソ大阪、2014シーズンのオフにはアントラーズから移籍のオファーを受けながら、熟慮した末にベルマーレへの残留を決断した。

 自問自答したのは、自分が成長できるかどうか。堂々の年間総合8位でJ1残留を果たした昨シーズンのオフ。ひとつの目標を成就させた思いも強かったのだろう。永木は新天地へ旅立つ決断をくだす。

 ベルマーレの眞壁潔代表取締役会長は、永木の移籍に関してこう言及したことがある。

「永木の名誉のために言えば、一番高い金額を提示してきたクラブには最初に断りを入れています」

 お金の問題ではない。ベルマーレで培ったベースを、さらに高いレベルへ昇華させられるクラブはどこなのか。複数のオファーのなかから、2年連続で変わらぬ評価を与えてくれたアントラーズを選んだ。

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