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Jリーグ 9年前

鹿島・永木、古巣に見せた“湘南スタイル”の片鱗。成長のために選んだ常勝軍団での挑戦

text by 藤江直人 photo by Getty Images

主将だった湘南時代から変わった立場

 遠藤へパスを出してから、ゴールネットが揺れるまでの所要時間は約7秒。ベルマーレのお株を奪う電光石火のショートカウンターの起点となったボール奪取に、永木は確かなる手応えを感じていた。

「どちらに転ぶかわからないというところで前へ転がすのが、自分が得意とするプレーなので。あの状況から点が入ることは本当に理想的な流れだし、前線の選手がゴールしてくれるので守備のしがいがあるというか、ああいう球際のところで激しくいく価値があると思っています」

 誰と争ったのか、永木はほとんど覚えていなかった。視界に映っていたのはルーズボールだけ。スライディングに込められた闘志と執念がボールへ伝わり、ダメ押しとなる3点目が生まれた。

 このオフに新天地へ移籍して、迎えた7試合目でつかんだリーグ戦初先発のチャンス。実はサンフレッチェ広島を4対1で一蹴した前節の後半40分に、永木は運命に導かれた縁を感じずにはいられなかった。

 イエローカードをもらったMF小笠原満男が、累積警告でベルマーレ戦は出場停止になる。自分の出番が訪れる――。自らを鼓舞する永木へ、サンフレッチェ戦後に小笠原も「頑張れよ」と声をかけた。

 JFA・Jリーグ特別指定選手として登録された2010シーズンを含めて、ベルマーレでプレーすること6シーズン。その間、Shonan BMWスタジアム平塚には笑顔と歓喜、涙と悔しさを何度も刻んできた。

「自分でもビックリしています。リーグ戦では先発で出られず、悔しい思いを胸の内に秘めながら、いつか出番が訪れたときにはしっかりとプレーできるように常に準備をしてきたなかで、そのタイミングがたまたま湘南戦となったので。所属チームは変わりましたけど、愛着深いこのスタジアムでプレーすることができて本当によかった」

 サンフレッチェ戦までの6試合で途中出場を4度果たしたが、トータルのプレー時間は約46分。常に先発の座を勝ち取り、3シーズンにわたってキャプテンを務めてきたベルマーレ時代と立場は大きく変わった。

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