本田、失地回復は可能か?
ただやはり、ボアテンクが90分間を通して闘えるかは未知数だろう。現に今季の試合でも、以前ミランでズラタン・イブラヒモビッチ(現パリSG)らとのコンビで見せてきたようなキレは見られなかった。中盤に人がおらずボナベントゥーラを下げている状況から考えれば、カルピ戦では本田にも途中出場のチャンスが与えられる可能性はゼロではないと見る。
肝心なのは、その時に何をするかだ。前半戦でシステムが変わり本田の出場機会は激減したが、少ない途中出場の時間内でも前に行く意欲を見せ、ハードに走り回っていた。練習を含めた積み重ねでミハイロビッチは評価を変え、先発のチャンスを手にした。
スプリントの平均走行距離は約1kmと、ミランの選手の中ではダントツでトップの数字だ。ハードワークを重視する戦術の中で、本田はフィジカルバランス上外せない選手となっていた。
当然、指揮官も変われば要求も変わる。ブロッキが求めるのはFW的な動きと攻撃面での直接の貢献で、むしろ「攻撃陣には守備の負担を減らしたい」と言っている。ただミハイロビッチ時代も、本田本来のポジションではなかったところを定位置としてものにした。
失地回復のために、今度は彼がどういう努力を見せるのかに期待したい。鍵となるのは、やはり短い時間でも攻撃のインパクトを残せるかどうか、ということだろうか。
(取材・文:神尾光臣)
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