異質の存在の香川。好調維持で、先発濃厚か
そんな秋の空のようなBVBの守備とは対照的に、4月に入ると香川真司は、尻上がりに安定したパフォーマンスを見せている。
BVBのサッカーの質など環境の変化で2月、3月の試合は不調に喘いだが、練習ではワンタッチ、ワンタッチに何かを込めるかのように、意識的に取り組んできた。やはり日頃の取り組みが土台となることは、本人も認めるところだ。集中と研鑽が、新たなブレイク・スルーを産もうとしているのだろうか。
17日のHSV戦での香川のプレーを振り返れば、ポカール準決勝のヘルタ戦でも先発なのではないだろうか。HSV戦ではゴール、アシストを記録したわけではない。しかし、プリシッチの先制をアシストしたフンメルスに入れたパスや、ラモスによる3点目に繋がった、ライトナーとのワンツーからのシュートなど、攻撃に変化とリズムを加え続けた。
まさにBVBのトップ下として躍動した格好だ。10日のシャルケ戦から数えれば、4戦連続での先発となるが、コンディションは良く、無理の効かない状態ではないだろう。HSV戦の後では「プロとして最後までやり切る」と、モチベーションも衰えるところはない。
HSV戦ではシャヒンとギュンドアンがボランチでコンビを組んだ。また、カストロとプリシッチが両サイドで先発したように、周りをファイター・タイプで固めた方が、香川もより活きてくるのではないだろうか。異質な存在としての「10番タイプ」が活きれば、周りも活きてくる。そういった好循環が、HSV戦のドルトムントにはあった。
後半戦に入ってから、「違い」もまた香川が意識してきたことである。周囲との「違い」を証明し、チームを活性化させ、ゲームでの勝利に導く。そうした“オリジナリティの追求”は、HSV戦に続いて、ヘルタ戦でも必要とされそうだ。
(取材・文:本田千尋【ドイツ】)
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